装丁に使う写真を探すとき、
私が最初に考えることの一つが、
タイトルを置くスペースがあるかどうかです。
写真そのものが魅力的でも、
タイトルやサブタイトルを配置する場所がなければ、
装丁として使うことが難しい場合があります。
文芸書などでは、写真の雰囲気を生かしながら、
空いているスペースに文字を配置したり、
あえて文字を散らしたりする表現もあると思います。
一方、私が多く手がけている専門書や実務書では、
写真よりもタイトルやサブタイトルを
しっかり認識してもらうことが大切になる場合が多くあります。

そのため、写真を探す段階から、
文字をどこに置けるかを考えています。

タイトルを置ける写真を探します
私にとって使いやすい写真は、
タイトルを置くスペースが自然なバランスで確保できる写真です。
ただ、必ずしも余白のある写真だけを選ぶわけではありません。
写真の上にそのまま文字を置くと読みにくくても、
文字の下にベタを敷くことで、
タイトルの視認性を確保できる場合があります。
また、そのベタを単なる文字の背景ではなく、
デザインの一部として生かせると考えて、
あえてそうした写真を選ぶこともあります。
写真だけで完成形を考えるのではなく、
文字と組み合わせたときにどう見えるかを
想像しながら探しています。

指定されたもの以外の表現も考えます
写真を探す方法は、案件によって変わります。
具体的な被写体から探すこともあれば、
写真全体の雰囲気から探すこともあります。
編集者の方から具体的な要望がある場合は、
もちろんその内容を基本に探していきます。
例えば、悲しんでいる女性の写真を使いたいという
要望があったとします。
その場合、泣いている女性など、
要望に直接合う写真を探します。
一方で、必ずしも泣いている表情を
見せる必要はないかもしれません。
女性の後ろ姿や手元だけでも、
悲しさを感じさせる写真が見つかることがあります。
要望に合うものを探しながら、
別の表現でも伝えられる可能性があれば、
そちらも検討するようにしています。

以前に見つけた写真を使うこともあります
写真素材は、必要になったときに
一から探すことが多くあります。
ただ、それだけではありません。
普段から写真素材を探す機会が多いため、
別の案件で探している途中に、
その案件とは関係がなくても
よいと思った写真を見つけることがあります。
そうした写真は、その都度ブックマークしています。
長く続けているうちに、
少しずつ素材の候補が蓄積されてきました。
新しく検索することと、
以前に見つけた写真を見直すこと。
この両方から、その本に合いそうな写真を探しています。
また、検索するときは、
最初に具体的なキーワードで探すことが多いです。
それでも見つからない場合は、
少しずつ条件を広げていきます。
最初に考えた言葉だけでは、
見つからない写真もあるからです。

実際に文字を置いてみないと分かりません
写真を選ぶ段階では、
頭の中でタイトルの配置も考えています。
このあたりにタイトルを置けば、
きれいに収まりそうだと思って選ぶこともあります。
ただ、実際に文字を置いてみると、
思っていた印象と違うことがあります。
写真だけを見ているとよさそうでも、
タイトルが目立たなかったり、
全体のバランスがうまく取れなかったりします。
長く仕事をしていても、
実際に組み合わせてみないと分からないことがあります。
そのため、写真だけで判断するのではなく、
必ず文字を置いて確認するようにしています。

写真には、できるだけ手を加えないようにしています
写真を選んだあとも、
基本的には大きな加工や調整をしないことが多いです。
もともと、できるだけ加工しなくても
使えると思う写真を選んでいるからです。
また、写真には撮影した方の意図があり、
その一枚として完成されているものだと考えています。
そのため、自分がよいと思って選んだ写真の印象を、
できるだけ変えたくないという気持ちがあります。
もちろん、装丁として成立させるために、
多少のトリミングや調整をすることはあります。
最初から大きくトリミングすることを想定して、
写真を選ぶ場合もあります。
ただ、写真全体がよいと思って選んだ場合、
大きく切り取ってしまうと、
その写真を選んだ意味がなくなることもあります。
タイトルが読みにくいからといって、
すぐに写真の色を変えるのではなく、
文字の下にベタを敷くなど、
デザイン側で調整できないかを考えます。

写真と文字を、一緒に考えます
写真を探すときは、
写真そのものの魅力も大切にしています。
ただ、装丁では写真だけが
よければよいわけではありません。
タイトルやサブタイトルと組み合わせたときに、
その本としてどう見えるか。
写真の魅力をできるだけ残しながら、
伝えるべき文字もきちんと見せる。
写真を選ぶときは、
その両方を考えながら制作しています。
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