本のタイトルに使う書体を選ぶときは、
まず本のジャンルと、編集者の方からいただいた要望を考えます。
打ち合わせやメールで伺った内容、
その本に求められている雰囲気などから、
最初に明朝系で考えるか、ゴシック系で考えるか、
大きな方向を決めていきます。
専門書など、かっちりした印象を求められる本では
明朝系から考えることが多くあります。
一方で、もう少し親しみやすく見せたい本や
初心者向けの本などでは、
ゴシック系から考えることもあります。
もちろん、これだけで決まるわけではありません。
明朝系でも柔らかな印象はつくれますし、
同じ明朝系でも、書体によって雰囲気は変わります。

よく使う書体は、ある程度決まっています
長く仕事をしていることもあり、
普段よく使う書体はある程度決まってきています。
明朝系、ゴシック系、それぞれに
自分の中で使いやすいと感じている書体が数種類あります。
好みもあると思いますし、
これまでさまざまなタイトルを組んできた中で、
使いやすい書体が自然と残ってきたのだと思います。
そのため、毎回たくさんの書体の中から
ゼロから探しているわけではありません。
まずは、普段よく使っている書体に
実際のタイトルを入れてみることが多くあります。

いつもの書体でも、合わないことがあります
よく使っている書体だからといって、
どの本にも合うわけではありません。
実際のタイトルを組んでみると、
「今回は少し違う」と感じることがあります。
そんなときは、同じ明朝系、ゴシック系の中から
別の書体を試します。
また、明朝系が合うと思った本でも、
確認のためにゴシック系を試すこともあります。
結果として最初に考えていた方向に戻ることが多いのですが、
実際に組んで確認することで判断しています。

同じ明朝でも、硬さを変えることがあります
専門書だからといって、
いつも同じ明朝体を使うわけではありません。
内容が難しく、硬派な専門書であっても、
原稿や本全体の雰囲気を考えたときに、
あまり硬く見せすぎないほうがよいと感じることがあります。
そんなときは、普段よく使っている
かっちりとした印象の明朝ではなく、
少し雰囲気のある明朝を選ぶこともあります。
本のジャンルだけで決めるのではなく、
その本をどのくらいの硬さで見せるのか。
同じ明朝系の中でも、
その違いを考えながら選んでいます。

タイトルを構成する文字でも変わります
書体を選ぶときに難しいと感じるのが、
タイトルを構成している文字によっても
印象が変わることです。
画数の多い漢字が中心のタイトルでは、
同じ明朝系の中で書体を変えても、
全体の印象が大きく変わらないことがあります。
一方で、画数の少ない漢字や、
丸みを感じるひらがなが多いタイトルでは、
同じ明朝系でも柔らかさが強く出ることがあります。
個人的には、特にひらがなは
書体ごとの特徴が出やすいと感じています。
いつも使っている書体なら大丈夫だと思っていても、
実際のタイトルを入れてみると
「今回は違う」と感じることがあります。

最後は、実際のタイトルで判断します
長く使ってきた書体には、
使いやすさがあります。
そのため、毎回すべてを変えるのではなく、
まずは自分の中で基準になっている書体から考えています。
ただ、その書体を使うこと自体が
目的にならないようにしています。
同じ書体でも、
そこに入る言葉や文字の組み合わせによって
見え方は変わります。
いつもの書体を基本にしながら、
実際のタイトルを組んで確認する。
書体を選ぶときは、
その本のタイトルとしてどう見えるかを
最後の基準にしています。
関連する実務ノート

他の書籍装丁デザイン事例

↑Back to Top